2004年09月27日

地域で生きる 知的障害者が権利擁護の全国組織を結成 “脱施設”掲げアピール

地域で生きる 知的障害者が権利擁護の全国組織を結成 “脱施設”掲げアピール

◆「自立のためのサービスを」
 「わたしたちは障害者である前に人間である」――。障害のある人たちが当たり前に暮らせる社会の構築が進む中、これまで自己決定が難しいと思われていた知的障害のある人たちも積極的に発言し始めた。当事者運動の全国組織「ピープルファースト ジャパン」も結成、このほど大阪で開かれた結成大会では、各地から参加した知的障害者たちが「施設はいらない。地域で生きる」というメッセージを発信した。
 「ピープルファースト(まず人間として)」は一九七三年、アメリカ・オレゴン州で開かれた集会で、一人の知的障害者が「障害者ではなくまず人間として扱われたい」と発言したのをきっかけに始まった障害者本人による権利擁護運動。「自分たちのことは自分たちで決めたい」という原則の下で、差別や偏見と闘う運動を続けている。
 日本でも、九〇年代になってから大阪をはじめ各地にピープルファーストが作られ、九四年から当事者が主体となって全国大会を開いている。今年は十一月に徳島県で開かれる予定。
 全国組織「ピープルファースト ジャパン」は、ピープルファーストの考え方をより広め、障害という困難を抱えていても、施設ではなく地域で当たり前に暮らせる社会を作るための活動をしようと、三年前から結成準備が進められていた。
 東大阪市内で開かれた結成大会には、全国から約三百二十人が参加。会の目的として「入所施設をなくす」「自立生活のための地域サービスを増やす」「差別、虐待をなくす」「ピープルファーストを広める」の四点を掲げ、権利を主張する、仲間の相談にのり、人権侵害に抗議するなどの具体的な活動内容を決めた。会場からは「自立できるようにしてほしい」「いじめや、虐待をなくしたい」など発言が相次いだ。
 来賓で招かれた厚生労働省の大塚晃・障害福祉専門官も「今、施設にいる人も一刻も早く地域へと思っている」と述べ、運動への理解を示した。
 会長に選ばれたピープルファースト東久留米の小田島栄一さん(60)は「みんな地域で暮らすのが当たり前。グループホームでの生活や一人暮らしができるように頑張りたい。当事者の会を親の会に負けない組織にしたい」と決意を述べた。
 ◆就労支援が必要
 知的障害者の自立支援に詳しい関西学院大学教授の大谷勉さんの話「昨年始まった支援費制度でガイドヘルパーの利用が増え親離れ子離れが進んだ。地域で暮らす人が増えた今、最大の課題は就労の問題。障害のある人と企業をつなぎ、関係を調整する支援の仕組みが必要だ」
  
 写真=結成大会では、各地の代表がプラカードを持って入場した(大阪府東大阪市内で)

[読売新聞 2004年9月27日(月)]